制震構造とは?仕組みやメリット・デメリット、耐震・免震構造との違いやどれを選ぶべきか解説

制震構造とは?仕組みやメリット・デメリット、耐震・免震構造との違いやどれを選ぶべきか解説

制震構造は、地震の揺れを抑えて住まいへのダメージを軽減しやすいことから、注文住宅でも広く採用されている構造です。

とはいえ、どのようなメリット・デメリットがあるのか、他の構造との違いなどがよくわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、制震構造の仕組みやメリット・デメリット、耐震・免震との違い、地震に強い家づくりの考え方まで分かりやすく解説します。

 

コラムのポイント
・制震構造は、制震ダンパーで揺れのエネルギーを吸収し、建物の損傷や室内の揺れを抑えやすくする構造です。
・制震構造にはメリットがある一方で、単体で耐震性が高まるわけではなく、設計・配置・製品選びによって効果に差が出る点に注意しましょう。
・家を建てる際には、まず耐震性能をしっかり確保し、そのうえで繰り返す地震や余震への備えとして制震を組み合わせる方法が有効です。

 

制震構造とは

制震構造とは

制震構造とは、建物の骨組みに「制震ダンパー」と呼ばれる装置を組み込み、地震の揺れエネルギーを熱エネルギーに変換・吸収することで、建物の振動を低減する構造です。

繰り返しの揺れにも安定した吸収性能を発揮し、倒壊防止だけでなく、壁のひび割れなどの軽微な損傷も軽減できます。

南海トラフ地震などの大規模地震への備えが社会的課題となる中、揺れを抑える効果が期待できることから、多くの注文住宅で取り入れられています。

制震構造のメリット

制震構造のメリット

注文住宅を建てる際に制震構造を取り入れる場合、主に次の5つのメリットがあります。

建物の損傷を抑えやすい

制震構造は、地震時に生じる揺れや変形の一部をダンパーが吸収することで、柱・梁・壁などの構造部材にかかる負担を軽減しやすくなります。

そのため、耐震構造のみの住宅と比べると、建物の損傷を抑えやすくなるのが大きなメリットです。

結果として、地震後の補修負担を抑えられるほか、建物をより良い状態で維持しやすいと期待できます。

繰り返しの地震によるダメージを軽減しやすい

制震ダンパーは揺れのエネルギーを吸収するため、繰り返される揺れによる累積的なダメージを軽減可能です。

大きな地震の後には余震が続くことがあり、揺れるたびに建物に負担が蓄積されてしまいます。

そこでダンパーを採用することで、一度の揺れだけでなく、その後の揺れも見据えた備えとして役立ちます。

室内の揺れや不安感を減らしやすい

制震構造は建物の揺れを小さくしやすいため、室内で感じる揺れの軽減につながると期待できます。

大きな地震が発生した場合、揺れの大きさに恐怖を感じる方は少なくありません。

また、「揺れで家具が倒れてしまう」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

そこで制震構造を採用することで、地震時の不安感をやわらげやすくなり、家具の転倒リスクの軽減も期待できます。

住まいの安全性をできる限り高めたい場合、制震構造はおすすめの選択肢です。

台風や強風による揺れ対策にもつながる

制震デバイスは、地震だけでなく、台風や強風による揺れの低減にも役立つ場合があります。

風による振動エネルギーを吸収することで、建物の揺れを抑えられるためです。

海の近くや平野部、高台など、風の影響を受けやすい立地に家を建てる場合、制震構造はより安心な住まいづくりにつながります。

免震に比べて導入しやすい

免震構造は建物と基礎の間に装置を設置する必要があり、計画条件やコスト面で制約が大きくなるケースが少なくありません。

一方、制震構造は壁内部や構造フレーム内に装置を組み込む方式が多く、免震に比べると導入を検討しやすい選択肢です。

現実的かつ効果的な地震対策の一つとして、多くの注文住宅で採用されています。

制震構造のデメリットと注意点

制震構造のデメリットと注意点

制震構造はさまざまなメリットがありますが、以下のデメリット・注意点も理解したうえで採用しましょう。

制震構造だけで耐震性が高まるわけではない

制震構造は、ダンパーなどの装置によって揺れのエネルギーを吸収し、建物の変形や損傷を抑えやすくするものの、建物そのものの強度を高めるものではありません。

そのため、耐震性の高い家にするには、大前提として建築基準法に適合した耐震性能を備える必要があります。

制震装置を設置する=耐震性能が上がるというわけではないので、まずは耐震性能を確保し、そのうえで必要に応じて制震性能を組み合わせましょう。

設計や配置によって効果に差が出る

制震ダンパーの効果は、装置の種類だけでなく、設置する位置や数量、建物全体とのバランスによっても変わるものです。

そのため、建物の形状や構造に合った計画がされていないと、期待したほどの効果が得られないケースもあります。

効果を十分に引き出すには、構造計画に基づいた適切な設計・施工が欠かせません。

依頼先を検討する際は、地震に強い家づくりの実績や設計・施工体制も確認しておきましょう。

装置の点検・交換が必要な場合がある

制震ダンパーは、製品によって構造や素材が異なるため、メンテナンスの方法や頻度などにも違いが見られます。

中にはメンテナンス負担を抑えた製品もありますが、定期的な点検・交換が推奨される製品もめずらしくありません。

また、長期間にわたって性能を維持するためには、製品ごとの耐久性や保証内容を事前に確認しておくことも重要です。

初期費用だけでなく、将来的な維持管理コストまで含めて比較することで、住まいに合った選択をしましょう。


リョーエンホームが採用している制震ダンパー「K3」は、独自開発のフェノール樹脂摩擦材を採用しているため、169年相当の耐久性(※)があります。

交換不要で使い続けられる制震ダンパーについて詳しく知りたい方は、こちらのページも参考になさってください。

〈関連ページ〉リョーエンホームの性能と品質

※劣化促進試験により算出

耐震・免震・制震の違い

耐震・免震・制震の違い

耐震・免震・制震の違いは、地震への対処方法にあります。

構造

特徴

向いている住宅

耐震

建物自体を強くして揺れに耐える

一般的な戸建て全般

※日本の住宅は法律上最低限の耐震基準への適合が必須

制震

ダンパーなどで揺れを吸収する

繰り返す地震に備えたい住宅

2階建て以上の住宅

免震

建物と地盤の間で揺れを伝わりにくくする

揺れそのものを大きく減らしたい住宅

高性能志向の住宅

これまでにご説明してきた通り、制震は装置で揺れを吸収して建物の傷みを抑える構造のため、繰り返される余震の負担も軽減できるのが特徴です。

一方で耐震は、柱や壁など建物自体を強くして揺れに耐える構造で、現在の住宅では基本となる性能として採用されています。

免震は、建物と地盤の間に装置を入れ、地盤から伝わる揺れそのものを減らすのは大きなメリットですが、建物の条件やコスト面を含めてハードルの高い選択肢です。

このように、耐震・制震・免震はどれが一方的に優れているというものではありません。

建物の規模や立地、求める性能、予算に応じて適した選択肢が変わるので、まずは基本となる耐震性能をしっかり確保し、必要に応じて制震技術を組み合わせる考え方が現実的です。

3つの違いをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて参考になさってください。

〈関連ページ〉耐震・免震・制震のどれがいいのか|それぞれの違いやおすすめの組み合わせも解説

福井で家を建てるなら地震対策をどう考えるべきか

福井で家を建てるなら地震対策をどう考えるべきか

福井で地震に強い家を建てるなら、一般的な耐震性に加え、積雪時の揺れまで見据えた設計が重要となります。

積雪時は屋根荷重によって揺れが大きくなりやすいため、耐震等級3を確保するだけでなく、屋根はできるだけ軽い素材を選ぶなど、雪と地震の両方に備える考え方が重要です。

地盤調査を丁寧に行ったうえで、雪下ろしの負担を減らせる克雪型の計画もあわせて検討すると、福井の気候に合った安心な住まいに近づきます。

制震構造についてよくある質問

制震構造についてよくある質問

最後に、制震構造に関するよくある質問にお答えします。

制震ダンパーは意味ないと言われるのはなぜか

制震ダンパーが「意味ない」と誤解される背景には、建物の設計や地震の規模による効果の感じ方の違いがあります。

適切に配置しなければ十分な効果が発揮されず、小規模な地震では揺れの軽減を実感しにくいことが主な原因です。

また、製品によっては定期的なメンテナンスが必要になり、維持の手間がかかることも否定的な意見につながっています。

確かな効果を得るためには、実績のある施工会社に適切な配置計画を依頼しましょう。

耐震等級3なら制震構造はいらないのか

最高等級である耐震等級3を取得していても、制震構造との組み合わせは非常に有効です。

耐震等級3の建物は、一度の大きな地震に対しては倒壊しないように作られていますが、余震などの繰り返しの揺れによって構造躯体にダメージが蓄積してしまいます。

揺れのエネルギーそのものを吸収し、建物の変形や損傷を防ぐには、制震ダンパーが効果的です。

長期間にわたって住宅の性能を維持したい場合には、耐震性能と制震性能をセットで採用することをおすすめします。

制震・耐震・免震ではどれがいいか

それぞれの構造には得意とする揺れ方や導入コストに違いがあり、どれか一つが優れているわけではありません。

そのため、予算や土地の条件に合わせて選ぶ必要があります。

耐震性をベースとして、コストと性能のバランスを考慮して選びましょう。

現実的かつ効果的な選択肢としてあげられるのは、建物の倒壊を防ぐ耐震を基本としつつ、繰り返しの揺れを吸収する制震を組み合わせる手法です。

この二つを併用することで、高額な免震に比べて導入費用を抑えながらも建物へのダメージ蓄積を軽減できます。

まとめ

制震構造は、地震の揺れエネルギーを吸収して建物の損傷や揺れによる不安を軽減しやすいのが特徴です。

しかし、制震だけで住宅の強さが決まるわけではありません。

まずは十分な耐震性能を確保したうえで、建物の条件や地域特性に合わせて取り入れることが大切です。

リョーエンホームでは、制震ダンパー「K3」を全棟標準搭載としているほか、耐震等級3の住宅に対応可能です。

福井県で地震に強い家を建てたい方は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

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