免震構造のデメリットとは?耐震・制震との違いと注文住宅に合う地震対策を解説

免震構造のデメリットとは?耐震・制震との違いと注文住宅に合う地震対策を解説

地震対策を考えるとき、「免震構造は安心そうだけれど、デメリットはないのか」と気になる方は多いのではないでしょうか。

免震は建物に伝わる揺れを抑えやすい優れた技術ですが、戸建て住宅ではコストや敷地条件、メンテナンスのしやすさまで含めて検討することが肝心です。

そこでこの記事では、免震構造の基本から、耐震構造・制震構造との違い、免震構造のメリット・デメリット、注文住宅ではどの地震対策を選ぶべきかまでわかりやすく解説します。

このコラムで分かること

  • 免震構造は揺れを受け流す仕組みで室内被害を抑えやすいですが、コストや点検負担、敷地条件による制約もあります。
  • 耐震・制震・免震は目的が異なるため、単純な優劣ではなく重視したい点で選ぶことが大切です。
  • 戸建て注文住宅では「耐震×制震」が費用と性能のバランスが良い選択肢となります。

免震構造とは

免震構造とは

免震構造とは、基礎と建物の間に免震装置を設け、地震の揺れを建物へ直接伝わりにくくする構造です。

一般的には、基礎と建物の間に積層ゴムやすべり支承などの装置を設置し、地盤が揺れても建物側の揺れを小さく抑える仕組みをつくります。

建物そのものを強くして揺れに耐えるのではなく、揺れを受け流すという考え方が免震構造の大きな特徴です。

特に横方向の大きな揺れに対して効果を発揮しやすく、令和6年能登半島地震においては、震度6強を観測した七尾市内であっても、免震構造を採用した病院は機能が継続したと報告されています(※1,2)。

しかし、どの建物にも採用しやすいわけではなく、構造計画や敷地条件、予算によっては採用しにくいケースもめずらしくありません

※1〈出典〉報道発表資料:令和6年能登半島地震でも効果を発揮した免震構造! 世界トップクラスの実大免震試験機による「免震動的性能認証制度」が7 月よりスタート |国土交通省

※2 病院という大規模建築での事例であり、戸建て住宅では建物規模や装置の仕様が異なるため、同じ効果がそのまま得られるとは限りません。

免震構造・耐震構造・制震構造の違い

免震構造・耐震構造・制震構造の違い

免震・耐震・制震は、いずれも地震に備えるための考え方ですが、目的や揺れへの対応方法が異なります。

構造

主な目的

揺れへの対応方法

向いている建物

導入ハードル

免震構造

揺れを建物に伝えにくくする

基礎と建物の間に装置を入れて揺れを受け流す

中高層建築
重要施設
一部の戸建て

高い

耐震構造

建物が倒壊しないようにする

柱・梁・壁などを強くして揺れに耐える

戸建て住宅全般

低い(標準的に備えるべき基本性能)

制震構造

揺れによるダメージを抑える

ダンパーなどで揺れのエネルギーを吸収する

戸建て住宅
中高層建築

比較的低い(耐震に追加しやすい)

耐震構造は現在の住宅で基本となる考え方で、建物そのものの強度を高めて、大きな揺れでも倒壊しにくくすることを目指します。

一方で制震構造は、建物の中にダンパーなどを組み込み、揺れのエネルギーを吸収して建物への負担を軽減する仕組みです。

免震構造は、先の説明の通り地震の揺れ自体を建物に伝えにくくします。

この3つは単純な優劣ではなく、何を重視するかで選び方が変わるため注意しましょう。

それぞれの違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事もごらんください。

〈関連ページ〉耐震・免震・制震のどれがいいのか|それぞれの違いやおすすめの組み合わせも解説

リョーエンホームが採用している制震ダンパー「K3」は、独自開発のフェノール樹脂摩擦材を採用しているため、169年相当の耐久性があるのが特徴です。

安心して長く使い続けられる制震ダンパーについて知りたい方は、こちらのページも参考になさってください。

リョーエンホームの性能と品質

免震構造のデメリット

免震構造のデメリット

免震構造は地震対策として優れた技術ですが、戸建て住宅では導入のハードルが高いのも事実です。

導入を検討する際には、次の5つのデメリットに注意しましょう。

導入コストが高い

免震構造を採用する場合、一般的な戸建て住宅より費用が高くなりやすい傾向にあります。

基礎部分に特殊な装置を設置しなければならず、それに対応した設計・施工が必要になるためです。

注文住宅では、地震対策だけに予算を割けるわけではありません。

断熱性能を高めたい・間取りにこだわりたい・設備を充実させたいなど、住まい全体で優先順位を考える必要があります。

免震にかける費用が、他の満足度に関わる部分を圧迫しないかどうかは慎重に考えたいポイントです。

定期点検やメンテナンスが必要

免震装置の性能を長期間にわたって発揮させるためには、定期点検や適切なメンテナンスが求められます。

点検時期・費用・交換の要否は製品ごとに異なるため、採用前に確認しましょう。

将来的には、部材の交換が必要になるケースも想定しておいたほうが安心です。

免震構造を検討するなら、初期費用だけでなく、将来どのような点検やメンテナンスが必要なのかまで事前に確認しておきましょう。

敷地条件や地盤によっては採用しにくい

免震構造は、地震のときに建物をゆっくり大きく動かすことで揺れを軽減する仕組みです。

そのため、建物が動く分のスペース(クリアランス)を敷地内に確保する必要があり、敷地の広さや形、隣地との距離によっては計画が難しくなることがあります。

また、軟弱地盤では免震装置の性能を十分に発揮できない場合があるため、地盤調査の結果によって採用の可否や設計内容が左右されることもあります。

こうした敷地・地盤の制約に加えて、地震時の建物の変位を見込んだ配管・配線、階段、外構などの計画も必要になるため、間取りやデザインにこだわりがある場合は事前の調整が欠かせません。

「免震構造のほうが安心そう」といったイメージだけで決めるのではなく、その土地や建物に合っているかを敷地条件・地盤・設計の3つの観点から確認しながら検討することが重要です。

上下動への効果は限定的

免震構造は、特に横揺れをやわらげる効果が期待できる一方で、すべての揺れに同じように強いわけではありません。

一般的な免震装置は水平方向の揺れを主な対象としており、上下動(縦揺れ)に対する効果は限定的とされています。

直下型地震では、上下動が大きくなりやすい傾向があるため、免震構造であっても上下動による影響を軽減しきれない可能性がある点に注意が必要です。

「免震構造なら何でも安心」と単純に考えず、仕組みの特徴を理解したうえで、耐震性能とあわせて総合的に備えましょう。

免震構造のメリット

免震構造のメリット

デメリットがある一方で、免震構造が高く評価されているのも事実です。

免震構造を採用する場合、主なメリットとして次の3点があげられます。

建物への揺れを伝えにくい

免震構造の最大のメリットは、地震の揺れを建物へ直接伝えにくいことです。

地盤が大きく揺れても、その力を免震装置が受け流すことで、建物側の揺れを小さくしやすくなります。

また、住む人の体感としても揺れの不安を軽減しやすい点も大きな強みです。

建物を守るだけでなく、地震時の恐怖感や身体的な負担を抑えやすいと期待できます。

家具の転倒や室内被害を抑えやすい

建物の揺れが小さくなれば、室内の家具や家電が動いたり倒れたりするリスクも抑えやすくなります。

特に背の高い家具があるご家庭や、小さなお子さま、高齢者がいるご家庭では、室内の被害を軽減できるかは重要なポイントです。

家具の転倒やガラスの破損、収納物の落下など、室内で起こる事故も生活に大きな影響を与えますが、免震構造はこうしたリスクを軽減しやすくなります。

しかし、被害が起こらないと保証できるものではないので、家具の固定や配置計画など、日常的な防災対策とあわせて考えましょう。

地震後も住み続けやすい

免震構造は、建物本体や室内へのダメージを抑えやすいため、補修の規模が小さく済めば、地震後の暮らしの再開も比較的スムーズになると期待できます。

地震対策というと「命を守る」ことに意識が向きがちですが、実際にはその後の暮らしを守る視点も同様に重要です。

免震構造を採用することで、日々の暮らしをできるだけ止めないための備えとなります。

免震構造が向いている家・向いていない家

免震構造が向いている家・向いていない家

免震構造の特徴がわかってくると、次に気になるのは「結局、自分たちの家に合うのか」という点です。

ここからは、どのようなケースで免震構造が向いているのか、向いていないのかを整理します。

免震構造が向いているケース

免震構造が向いているのは、地震時の揺れそのものをできるだけ小さくしたい場合です。

建物の安全性だけでなく、室内被害や体感負担まで抑えたいという希望が強い場合、免震構造は有力な選択肢になります。

また、免震の導入費用やメンテナンスコストに関する予算的な余裕があり、敷地や建物条件が適していることも前提です。

土地条件と設計条件が噛み合えば、免震構造のメリットを活かしやすくなります。

免震構造が向かないケース

免震が向かないのは、できるだけコストを抑えたい場合や、土地条件に制約がある場合、将来のメンテナンス負担を増やしたくない場合です。

注文住宅では、地震対策だけに予算をかけられるわけではありません。

断熱・気密・住宅設備・外構などにも、バランスよく費用を配分する必要があります。

そのため、免震構造に大きな費用をかけるよりも、まずは耐震性能をしっかり確保し、必要に応じて制震構造を組み合わせたほうが、全体としてバランスのよい選択になることもあります。

現実的な予算の範囲で住宅性能を整えたい場合、免震構造以外の地震対策のほうが適しているケースは少なくありません。

リョーエンホームでは、制震ダンパー「K3」を全棟標準搭載とすることで、繰り返される余震にも強い家を実現しています。

福井市や敦賀市をはじめ、大野市、勝山市、鯖江市などで地震に強い家を建てたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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注文住宅ならどの構造を採用するべきか

注文住宅ならどの構造を採用するべきか

注文住宅で選ぶべき地震対策は、単純な優劣で決まるものではありません。

予算や土地、建物規模、重視したい暮らし方によって、適した方法は変わります。

コストを抑えながら備えるなら耐震のみ

耐震は、住宅における地震対策の基本です。

柱や梁、壁の強さ、バランスの良い構造計画によって、建物が大きな揺れでも倒壊しにくい状態を目指します。

家づくりの土台となる性能のため、どの地震対策を選ぶにしても、まず建物そのものの強さが確保されていなければ効果を期待できません。

コストを抑えながらも必要な備えを固めたい場合には、耐震性能をしっかり高めることが第一歩になります。

〈関連ページ〉耐震等級3相当とは|「相当」で大丈夫なのか、等級3認定との違いを解説

繰り返す揺れや建物ダメージ対策なら制震構造もプラス

制震構造は、建物に加わる揺れのエネルギーをダンパーなどで吸収し、構造体への負担を軽減する仕組みです。

大地震の本震だけでなく、その後の余震や繰り返しの揺れに備えたい場合に相性がよいとされています。

耐震性能を確保していても、地震動の大きさや繰り返しの揺れによっては、構造材や仕上げ材に損傷が生じる恐れが少なくありません。

そこで制震構造を組み合わせることで、建物への負担を抑え、住まいをより長く良い状態で保ちやすくなります。

免震構造ほど大きな条件制約が出にくく、コストを抑えやすい点も、採用しやすさにつながっています。

戸建てでバランスがよいのは耐震構造×制震構造

戸建て注文住宅で総合的なバランスを考えるなら、耐震構造と制震構造の組み合わせをおすすめします。

耐震で建物の強さを確保し、制震で揺れによる負担を軽減できるためです。

この組み合わせであれば、コスト・安心・現実性のバランスを取りやすく、免震構造のような高いハードルを避けながら、単なる耐震だけより一歩踏み込んだ備えがしやすくなります。

注文住宅では、地震対策だけでなく、断熱性や家事動線、デザイン、予算配分なども含めて最適化しなければなりません。

その意味でも、耐震構造×制震構造は多くの家庭にとって検討しやすい選択肢です。

制震構造について知りたい方は、こちらの記事もごらんください。

〈関連ページ〉制震構造とは?仕組みやメリット・デメリット、耐震・免震構造との違いやどれを選ぶべきか解説

免震構造に関するよくある質問

免震構造に関するよくある質問

最後に、免震構造に関するよくある質問にお答えします。

Q1. 免震構造とは何ですか?

A. 建物の基礎と建物本体の間に免震装置を設置し、地震による揺れをやわらげる構造です。

建物を地盤からある程度切り離すことで、室内まで伝わる揺れを小さくすることを目指します。

Q2. 耐震・制震との違いは何ですか?

A. 耐震は、柱・梁・壁などを強くして揺れに「耐える」考え方です。

制震は、建物内部のダンパーなどで揺れを「吸収する」方法で、免震は建物そのものに伝わる揺れを抑える点で異なります。

Q3. 免震住宅にすると、揺れはまったくなくなりますか?

A. 揺れが完全になくなるわけではありません。

免震装置で揺れを低減できるものの、地震の規模や揺れ方、建物の条件によって体感は異なります。

Q4. 家具の転倒対策は不要になりますか?

A. 不要にはなりません。

免震構造は家具の転倒リスクを抑えることが期待できますが、家具固定や収納計画など、室内の安全対策もあわせて行いましょう。

Q5. 免震構造はどんな家に向いていますか?

A. 大地震時の室内の揺れや、家具・設備への影響をできるだけ抑えたい方に向いています。

小さなお子さまや高齢の方がいるご家庭、在宅避難も視野に入れて家づくりをするご家庭では、検討材料の一つになるといえます。

Q6. どの土地でも免震住宅を建てられますか?

A. 土地の形状や地盤、建物周辺の状況によっては、計画に制約が生じることがあります。

免震住宅では地震時に建物がゆっくり動くため、周囲との間に必要な空間を確保できるかも確認が必要です。

Q7. 免震構造は費用が高くなりますか?

A. 一般的な耐震構造の住宅と比べ、免震装置の設置や設計・施工に関する費用が高くなりやすい傾向があります。

初期費用だけで判断せず、地震時の安全性、暮らしへの影響、長期的なメンテナンスコストも含めて比較しましょう。

Q8. 免震装置にメンテナンスは必要ですか?

A. 必要です。

装置の種類やメーカーによって点検内容・時期が異なるため、引き渡し後の点検計画、保証内容、将来の交換・修理への対応を事前に確認しておくと安心です。

Q9. 免震構造なら、耐震等級は気にしなくてよいですか?

A. いいえ、免震と建物自体の強さは分けて考える必要があります。

免震装置だけでなく、住宅の構造計画、地盤調査、基礎設計、耐震性能を総合的に確認することが重要です。

まとめ

免震構造は、地震の揺れを建物に伝えにくくする工法で、建物本体への負担を抑えやすく、室内被害を軽減できると期待できます。

一方、導入コストの高さ、定期点検やメンテナンスの負担、敷地条件や設計条件による制約など、事前に確認すべきデメリットも少なくありません。

現実的なバランスを重視するなら、まずは高い耐震性能を確保し、そのうえで制震構造を組み合わせる考え方も候補にしてみましょう。

リョーエンホームの提供する住宅では、もっとも優れた耐震性能の「耐震等級3」にも対応できるほか、制震ダンパー「K3」を全棟標準搭載としています。

福井県で地震に強い家を建てたい方は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

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